SD-WANのメリット
2019年の時点で、SD-WANは、エンタープライズWAN接続が将来進むべき道として、明確に位置付けられました。市場への導入が急速に進んでおり、業界の専門家は、MPLSと比較して、SD-WANの優位性を認めています。例えば、Network World誌は2018年をSD-WANの年と名付け、ガートナーは2018年第3四半期終了までにSD-WANがMPLSを追い抜くという見解を示しています。
SD-WANが注目されている理由? 事実上、SD-WANはMPLSに比べてコスト効果がより高く、俊敏に運用できます。SD-WANは、CAPEXとOPEXを削減すると同時に、WAN管理をシンプル化し、拡張性があります。
ただし、さらに深堀して、SD-WANが貴社のビジネスにどのような価値をもたらすのか見極める必要があります。ここでは、SD-WANの主な5つのメリットおよびIT専門家や業界のエキスパートが、SD-WANを企業が進むべき道として位置付けている理由を説明します。
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WANコストの削減
MPLSの帯域幅は、コストが高いです。「ビットあたりの価格」で見ると、MPLSは公共のインターネットの帯域幅よりもかなりコストが高いです。ただし、正確なコスト比較は、拠点に固有のさまざまな変数によって異なります。MPLSは、単に帯域幅のコストが大幅に高いだけではありません。MPLS技術のプロビジョニングは、数週間から数ヵ月かかることが多いのに対し、同等のSD-WANの導入は、多くの場合、数日で完了します。ビジネスにおいて「時は金なり」です。弊害となっているWANを排除することが大きな競争力につながります。
MPLSとSD-WANの間でどの程度のコスト差があるのでしょうか? ここで重要になるのは、貴社のネットワークのスペックです。少なくとも25%の節約を期待できるのは明らかですが、多くの企業でこれをさらに上回る可能性があります。Cato社のお客様の一社は、クラウドベースのSD-WANと比べて、MPLSは4倍のコストにもかかわらず、得られる帯域幅は4分の1だったと述べています。
WAN性能の強化
クラウドコンピューティングやモバイルスマートデバイスが急速に普及する以前、最有力なエンタープライズWANはMPLSでした。クラウドやモバイルが主流になっている現在、MPLSの根本的な欠点が明らかになっています。端的にいえば、MPLSは、2つの静的な拠点間での信頼できるトラフィックのルーティングには優れていますが、クラウドやモバイルの要件には対応できません。
MPLSでは、「トロンボーン」現象に対策が必要です。つまり、MPLSベースのWANは、インターネットへのトラフィックをデータセンターにいったんバックホールし、ルーティングし直す必要があります。これは極めて非効率といわざるをえません。これにより、ネットワークのパフォーマンスが低下し、UCaaSやビデオ会議などの最新のサービスに大きな影響を及ぼします。
SD-WANは、ポリシーベースのルーティング(PbR)により、業務に最適な転送手段(xDSL、ケーブル、5Gなど)を利用して、トロンボーン現象を排除し、モバイルユーザーやクラウドサービスのパフォーマンスを向上させます。
トロンボーン現象やルーティングの問題を解決するだけでなく、SD-WANはラストマイルのパフォーマンスも変革します。さまざまな転送方式を利用できるため、より高度なリンクボンディングアプローチにより、ラストマイルの回復力と可用性を大幅に高めることができます。
WANの機動力向上
MPLSは、俊敏さを念頭に置いていません。一方、SD-WANは、最大限の機動力と柔軟性を実現することを目的としています。SD-WANは、ポリシーベースのルーティング(PbR)により、複数の転送方式に伴う複雑さを排除し、クラウドのワークロードのさまざまな要求に対応し、容易に規模を拡大または縮小できます。
例えば、MPLSは、新しい拠点への導入に数週間から数ヵ月かかる場合があります。CatoのクラウドベースのSD-WANは、数日または数時間で新しい拠点にオンボーディングできます。その具体的な例として、Pet Lovers Center社は、Cato Cloudを導入展開して、1日あたり2~3の拠点を立ち上げています。
また、多くのMPLSアプリケーションが帯域幅の追加に1ヵ月以上かかっていますが、SD-WANは既存の拠点で迅速な帯域幅のプロビジョニングが可能です。
WAN管理のシンプル化
これまで述べてきたように、MPLSは、プロビジョニングにかかる時間が大きな障壁になる可能性があります。また、MPLSは管理面でも難点があります。企業の規模が大きくなればなるほど、WAN管理は複雑になります。セキュリティやWAN最適化に複数のアプライアンスが必要となり、保守および管理の負担が増します。さらに、ネットワークの詳細な可視化が困難で、モニタリングや平均復旧時間が問題になります。クラウドベースのSD-WANは、ネットワークの統合およびビューの一元化により、 大規模な管理を容易に行うことができる付加価値をもたらします。
WANの稼働率向上
稼働率に関しては、冗長化とフェイルオーバーが重要なポイントになります。MPLSは信頼性の面で定評がありますが、完璧ではなく、障害が発生する可能性もあります。MPLSのプロバイダーレベルでの冗長化にはコストがかかり、導入に手間がかかります。SD-WANは、さまざまな転送方式を容易に利用できるため、SPOF(単一障害点)を減らす、可用性の高い構成を実現します。例えば、利用中のISPのファイバーリンクがダウンしても、別のプロバイダーのリンクへフェイルオーバーできます。さらに、クラウドベースのSD-WANの自己修復機能により、HA(高可用性)を従来よりも極めて容易に実現します。
WANの稼働率向上
クラウドベースのSD-WANにより、SD-WANのメリットがさらに増す、いくつかの方法をすで説明しましたが、MPLS推進派によるSD-WANに対する主な反論のひとつを打ち消していることも重要な点です。SLAがなかった時代、SD-WANソリューションは企業レベルでの展開には対応できないという意見がありました。しかし、CatoのクラウドベースのSD-WANは、SD-WANのすべてのメリット、統合型のセキュリティスタック、そして世界中のTier-1 ISPでサポートされていることでSLAで保証されたプライベートバックボーンを提供できています。
さらに、このプライベートバックボーンは、他のSD-WANソリューションでは解決できないもうひとつの課題、すなわちグローバルなレイテンシーを解決します。世界中にトラフィックを転送する必要がある国際企業の場合、公共のインターネットによるWANのルーティングだけでは、大きな遅延時間が発生します。これを克服するために、従来は運用コストが高いMPLSを利用せざるを得ませんでした。一方、クラウドベースのSD-WANは、よりコスト効果が高く、運用効率も優れています。Catoのグローバルプライベートバックボーンは、世界各地に分散されたPoP(プレゼンスポイント)により、MPLSと同等あるいはそれ以上のレベルの性能で高速かつ確実にトラフィックをルーティングします。
MPLSを上回る最新のSD-WAN
WANの課題をすべて解決する、万能薬はありませんが、SD-WANが現代の大半の企業にメリットをもたらすことは明らかです。MPLSは今後もニッチ市場で維持されると予想されますが、SD-WANは最も新しい大半のユースケースに対応します。クラウドベースのSD-WANは、最新型のMPLSに取り替わり、SLAで保証された信頼性が高く安心できる俊敏なSD-WANをビジネス領域に提供します。