WAN接続ソリューションの比較では、コスト、性能、信頼性、構成/メンテナンスなどが重要な検討事項です。これらについて、SD-WANとVPNを比較してみましょう。
SD-WANとVPNの比較:コスト
インターネットベースのVPNとSD-WANは、低コストの公共のインターネット帯域幅を利用します。小規模な導入の場合、VPNはいくつかの拠点およびとシンプルなWANトポロジーの低コストなソリューションです。例えば、シンプルな拠点間接続であれば、汎用サーバーとOpenswanなどのオープンソースソフトウェアで対応できます。しかし、BioIVT社の事例で見られるように、VPNベースのネットワークを拡張することで生じてくる複雑さや課題が、初期のコスト削減を大幅に上回る可能性があります。
SD-WANとVPNの比較:パフォーマンス
インターネットベースのVPNのパフォーマンスは、本質的に公共のインターネットと結び付いています。VPNベースのWANでは、アクセスの集中時に起こる輻輳がパフォーマンスに影響を与えるだけでなく、地理的に長距離の転送で一般的にレイテンシーが悪化します。
また、VPNにはダイナミックパスの選択、QoS(Quality of Service)、アプリケーションを意識したルーティングなど、パフォーマンスを最適化する機能がないため、VoIPやテレプレゼンスなどのアプリケーションに必要なレベルの効率を提供できません。SD-WANは、これらの機能を提供し、クラウドベースのSD-WANでは地理的にかなり離れている場合でもレイテンシーに支障が生じません。CatoのSLAで保証されているグローバルプライベートバックボーンは、世界各地の70+ 以上のPoP(プレゼンスポイント)で構成されています。トラフィックが最寄りのPoPにルーティングされ、Catoの高速バックボーンを経由するため、公共のインターネットに起因するミドルマイルにおけるパフォーマンス問題を回避できます。
SD-WANとVPNの比較:信頼性
SD-WANとMPLSの比較を考える前に、よく言われるようにアプライアンスベースのSD-WANおよびVPNともに、公共のインターネットのためSLAがないことです。今企業に求められているのは、予測可能で信頼性の高いパフォーマンスです。VPNは依然として公共のインターネットに依存していますが、CatoのSLAで保証されたグローバルバックボーンは、世界中の複数のTier-1プロバイダーで接続されています。これにより、Cato SASEクラウドは、MPLSと同等以上のレベルで予測可能なサービスと信頼性を提供しています。
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SD-WANとVPNの比較:設定と保守
VPNの設定には、多くの手作業が必要です。IPsecトンネル、IKE(インターネット鍵交換)、NAT-T(ネットワークアドレス変換トラバーサル)を安全に設定して拡張するには、ハイレベルな専門知識が必要です。WANに接続する拠点数が増えるほど、ネットワークの維持が困難になります。結果的に、パフォーマンスに支障が生じ、WANインフラが分断されます。
Paysafe Financial Services社は、VPNの拡張に伴う障壁を身をもって経験しています。いくどかの合併や買収を経て、Paysafe社には、MPLS回線とインターネットベースのVPN接続で構成されたバックボーンが残されました。インターネットベースのVPNにより、真のメッシュネットワークを構築するには、210のVPNトンネルが必要であり、多大な時間とリソース投資が必要でした。Paysafe社のインフラストラクチャーアーキテクト、スチュアート・ガル氏も、特にVPNが同社のWANの難点だったと述べています。VPNの接続性について、同氏は次のように語っています。「常に別の拠点への転送が必要なため、再プロビジョニングのプロセスが伴います。これには承認などもすべてを含めて、数週間かかることもありました」
このような状況に対応するために、Paysafe社が探し当てたソリューションがCato SASE Cloudでした。Catoは、ポリシーベース設定の拡張性の高い自動化と拡張性のあるクラウドベースのサービスモデルのメリットをPaysafe社にもたらしました。これにより、Paysafe社は、WANの設定およびプロビジョニングにかかる時間を合理化し、VPNと比較してレイテンシーを45%改善しています。Catoにより、どの程度速くなったのでしょうか? ガル氏は「MPLSやVPNでは、新しい拠点の立ち上げに何週間もかかっていましたが、Cato Socketの導入には、初期設定も含めて30分もかかりません」と述べています。
また、Paysafe社では、以前は個別のセキュリティソリューションを採用していました。Catoに置き換えることで、Catoのネットワークに組み込まれた企業に求められる水準のセキュリティ機能により、NGFW(次世代ファイアウォール)などのセキュリティアプライアンスを追加設定することなく、安全な拡張性を確保しています。